2016.4.22

「くり返し」

「前に進む」のが正しいと思っていた。
どんなに苦しいことがあっても、
ほんの少しずつでもいいから、
一歩ずつ一歩ずつ、前に進む。
そうやって、今までやってきた。
あの子だって、そうやって頑張ってきたと思う。

でも、今はちがう。
「前に」なんか、進めない。
少し進んだと思っても、一瞬で引き戻される。
また振り出しに戻る。
もう、どっちが「前」なのか、
どこへ向かうことが「進む」ことなのか、
全然わからない。

そんな中で、思ったこと。

「くり返し」でいい。
振り出しに戻って、また同じことをくり返す。
進むんじゃない、日々、くり返すんだ。
そうやって、毎日、毎月、毎年、ひとつずつ、同じことをくり返していきながら、気が付いたら年を重ねている。
それが、自然なことなのかもしれない。
それが、生と死、一生、命、
そういうことなのかな、と。

毎日、静かにくり返すことを、
毎年、この時期がきたらやることを、
そういうことを、ひとつずつ見つけて、増やしていこう。

毎日、花や植木に水をあげて、
寝る前に「ありがとう」を言って、
夏には蓮の花を見に行って、
秋にはイチョウを見に行って、お芋を収穫して。

そうやって、年を重ねていこう。
それが、あの子に次に会える日までの道のりだ。

前に進む必要なんてない。
くり返しなんだ。